砂漠で富豪にチケット恵まれた話 – インディアンウェルズ3日目 (vol.10)

相変わらずの好カード – フェデラー！ナダル！

テニス観戦も3日目に突入しました。今日もフェデラー対ベルディヒ、ナダル対ラオニッチと垂涎ものの準々決勝が用意されており起床時からテンションMAXです。この日のデイセッションも奮発して1階席をキープしています。

まずはフェデラー対ベルディヒ。ベルディヒは知らない人も多いかも知れませんがチェコ出身の紛れもないトップ選手で、「弱きを挫き、強きに挫ける」ことを得意とする選手です。この日もその特徴をいかんなく発揮しフェデラーに完敗しました。フェデラー完璧すぎ。

砂漠の出会い – 謎の富豪にチケットを恵まれる

フェデラーの試合の観戦中に突然、私の斜め後ろに座っていた中年（壮年）の白人男性が声をかけてきました。

白人「このタオルはどこで買ったんだい？」

男性は、私が首に巻いていた何の変哲もない青色のバボラのタオルについてそう尋ねました。

ワイ「ニッポン(`・ω・´)ｷﾘｯ」
白人「メッセージがフランス語で書かれてるから気になって」
ワイ「（バボラってフランスメーカーだし、フランス語で書かれてて当然じゃないの(；ﾟДﾟ)?）」

変な話題を振られ怪しい人だと思いましたが、距離的に逃げようもないし、1階席に座るような人は生活にも余裕があるマトモな人だと推測し、そのまま会話を続けました。タオルに書かれたフランス語のメッセージについて男性からご解説を頂いたあと、私からは、これまでとこれからの旅行スケジュールや、私は日本の弁護士でLLMに留学に来ていること等を説明しました。

そして、「この日のナイトセッションはクラブ席を確保しているが、明日は良い席が取れなかったので、上の階のショボい席なんだ」と男性に伝えると、「じゃあ、今座ってるこの席のチケット要るかい？」と突然提案されました。一応「おいくら万円？」と聞いてみると、なんとタダ。通常であれば詐欺の匂いしかしない流れです。

警戒してる空気を前面に押し出しながら、「あなたは必要ないの？」と聞いてみても、「私は隣席と合わせて二席分チケット持っているから問題ないよ」とのこと。この時点での私の選択肢は以下の三択です。

①そう　かんけいないね
②殺してでも　うばいとる
③ゆずってくれ　たのむ！！

「な　なにをする　きさまらー」という展開を期待した方もいるかもしれませんが、せっかくの奇跡的オファーなので素直に③で話を進めました。すると、「それなら明日の朝食を一緒に取ろう、その時にチケットを渡すよ。取り敢えず今夜のチケットは要らないからあげるね」と言われました。

これまでの人生経験が全く通用しない流れに相当ビビりましたが、腹を括ってこのガラハドおじさんとご一緒することにしました。

富豪の次は転売ヤー乞食

不思議な展開になったなと思っていたら、今度は作業着みたいな服装のみすぼらしいアジア人のオッサンが隣に座ってきました。そしてオッサンは、「おたくが今座っている席のチケットの売主は私だよ」とカミングアウトしてきました。

「定価より100ドル以上も上乗せして売りつけたくせによく名乗り出れるな、このカスが」と思いましたが、我慢して「チケット売ってくれてどうも」と流しました。この転売ヤーはさらに、「今晩と明日のチケットは持ってるのかい？チケットあるよー」と聞いてきました。タダで恵んでくれるガラハドおじさんとはエライ違いです。

しかし、昨日の40年おばあちゃんといい今日のガラハドおじさんといい、テニス観戦するだけでも色々な出会いがあるものですね。

金持ちの悪趣味 – クラブ席

ラオニッチの大金星 – ナダルvsラオニッチ

さて、観戦に話を戻します。フェデラーの快勝は予想されていた通りでしたが、次のナダル対ラオニッチ戦は予想外の激戦となりました。

第2セットのタイブレーク、ナダルのマッチポイントでラオニッチがこの日最速の147マイル（236キロ）のサービスエースを叩き込みそのまま第2セットを取り返すと会場のボルテージは最高潮に。その勢いで、ラオニッチがナダル相手に勝利をもぎ取りました。個人的には今年のインディアンウェルズのベストマッチでした。

ナイトセッションのはじまり – 悪趣味なクラブ席へ

充実したデイセッションを終え、続くナイトセッションに自分で手配したクラブスイート席と、ガラハドおじさんがくれた1階席のチケットを両方持って臨みました。これ、マジで贅沢です。

ただ、試合の組み合わせ的には残念で、この日の試合は無名の女子同士の試合とセリーナの準決勝のみ。敢えて観る価値も無いのですが、クラブ席を体験したかったし、ガラハドおじさんからもチケットをもらったので観戦していきました。

まずはクラブ席へ。クラブ席は位置的には2階に相当する位置にあり、1階席ほど試合は良く見えませんが眺めは悪くないです。しかしながら、試合をガチで見るというよりは、テニスを良く知らない女性を連れて来て自分のステータスを見せつけるか、テニスを横目に大人同士の会話を楽しむための一種の道楽的なスポットという印象を受けました。そんなところに30くらいのアジア人男性が独りでいれば当然浮きます、さみしかったです。ちょっとだけ試合も観ましたが、室内でコーヒー飲みながらネットサーフィンしてました。

またナイトセッションで棄権…セリーナふざけんな

そうしている間に最初の試合が終了したので、一階席に移動するためにクラブルームを出ると、なぜか入室証的なリストバンドを没収されました。変だなと思いながら外へ出ると観客が帰り始めていました。いつの間にかセリーナが棄権しており、ナイトセッションが終了してしまったのです。せっかくガラハドおじさんがくれたチケットは使わずじまいとなりました。

ナイトセッション終了後は昨日と同じホテルに帰り、プールサイドで夜風で軽く涼んですぐに寝ました。ローの授業サボって1日中テニス観戦しているだけなんですが、砂漠の炎天下で一日中見ていると意外と疲れます。