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LLM卒業したのにNY Bar受験せずに2か月ニートした話

留学生活(NY)

前回のエントリではNY Barを受ける意義について書きましたが、本エントリでは、私がNY Barを受験しなかった経緯と、受験しない結果何をしていたのかについて書いていきます。前回のエントリで受験の意義について好き放題言っておいてなんですが、私自身も、敢えて受験しなかった訳ではなく、受験できなかった、というのが実際のところです。

受験資格と申立棄却 – お前にそんな資格は無い

NY州の司法試験を受けるにあたっては、事前にNY州司法試験委員会による受験資格の審査を受けることになっています。たしか当時の要件は、①自国における司法試験を受ける資格を有していること、②(LLMとは別に)大学等で〇〇単位以上の法律専門科目を履修していること、という感じだっと思います。

私の頃から受験資格が厳しくなってきているという噂は聞いていました。早稲田の政治経済学部等は昔から問題あると聞いていたのですが、普通に国立大学の法学部出て弁護士資格も持っていて問題になることはないだろうと高をくくっていたところ、司法試験委員会から、専門科目の履修数が足りないとの大変ありがたい通知を頂戴しました。他の人の事例を参考に、「この人は十分な単位を履修しているよ」という証明書まで日本の母校から出してもらったのですが、「証明書みたけどダメ。文句があるならNYの裁判所に申し立てて」と返事が返ってきました

この時点でNY Barなんてどうでも良いわバーカバーカという気持ちになりました。法学部を出て弁護士資格を持って何年も実務やっているのに、今さらNY Bar受けるために日本のロースクールに通えとでもいうのでしょうか。そんな不合理な要件を課す試験なんてこちらから願い下げです。とりあえず、留学前に一緒に仕事をしていたパートナーの中で比較的偉い人に相談しました。

<strong>私</strong>

NY司法試験委員会から受験資格無いから文句あるなら裁判所に申し立てろって言われたんですけど、もう受験しなくてもいいすか…?

<strong>割とえらいパートナー</strong>
割とえらいパートナー

可能な限り受験してください。

<strong>私</strong>

(ぐぬぬ…)わかりました。

ということで、ロースクールのLLM担当の責任者に相談して、結構まじめにNYの裁判所に申立てをしたのですが、裁判所が空気を読んで申立てを棄却してくれました。これで偉いパートナーも諦めてくれたのですが、一緒に仕事をしていた別のパートナーからメッセージがありました。

パートナー:残念ですね。カリフォルニアはNYに比べて要件が緩いと聞いてますが。もちろん検討済みですよね?

でたーClosed Question。私が言えた立場じゃないですが、そんな追い込むような質問の仕方は女にモテませんよ。確かにカリフォルニア州の司法試験(Cal Bar)は日本の弁護士資格があれば受験資格は問題無かったはずですが、私はこのパートナーの問いかけをスルーしました

実際のところCal Barも検討はしたのですが、Cal Barって「NYは外人でも結構合格するけど、俺は外国人には難しいカルバー受かったぜ」というマウントを取りたい奇特な奴がカリフォルニアには何の用もないくせに受ける試験だと思っていたので、苦労してまで受けようという決断には至らなかったのです。

ということで、普通のLLM生がLLM卒業後の初夏の良い季節を約2か月間NY Barの受験勉強に費やすところ、私はニートとして暮らすことになりました。パートナー達からは、「良い休暇になりましたね。せっかくなので楽しんでください。」と、留学前には入院してしまうまで私に仕事をくれた人達とは思えない優しい言葉をかけて頂きました。いや、入院は事実ですがタダの笑い話で、ちょっと疲れが溜まっただけでメンタル崩壊とかでは無いです。個人差がありますが、たいていパートナーも留学生活を謳歌した経験があるので、オンオフの切り替え・人生の充実・人としての成長といった観点から、アソシエイトの留学生活について仕事の時のように煩く言ってくることはありません。

NY Bar受験せずに何をするのか – 受験しないなら遊ぶしかない

シカゴに残って受験勉強を頑張っている同期の邪魔をすることも考えましたが、そんな不毛なことをしても仕方ないので、無給でも良いから研修の時期を早められないかNYの研修先に相談してみました。

<strong>私</strong>

(かくかくしかじかで…)無給で研修の時期を早めることは可能でしょうか…?

<strong>研修先弁護士</strong>
研修先弁護士

いいですよー。どうぞどうぞー

ということで、受験勉強に没頭する仲間を尻目にNYに引っ越しました。その後さっそく研修先に顔を出したのですが…

<strong>研修先弁護士</strong>
研修先弁護士

メンゴメンゴ。やっぱり人事がOPT開始まではクライアントや案件情報渡したらダメだってー。見学で席に座ってるのは良いよ。とりあえず歓迎ランチでも行こか。

<strong>私</strong>

(えー!)ああ、はい、分かりました。あざます…

<strong>研修先秘書</strong>
研修先秘書

来る日(もしあれば)、連絡してくださいねー。

<strong>私</strong>

あ、じゃあ…来週は…水曜と木曜とか…
やっぱ木曜だけで!

といった感じで、正式にNYでニート生活を送らざるを得なくなりました。さすがにビザの規制が絡むのでこれ以上無理を申し上げるわけにはいかず、やむを得ず(ここ大事)、NYでの長期休暇を頂くことにしました。特に意識高い系の活動をすることもなく週1-2回程度おあいそ程度に研修先に顔を出し、生活のセットアップを行う傍らミュージカル見たり米国内を旅行したりしていました(ビザの関係で、一時的に米国外への出国に制限があったため米国内で大人しくしてました。なお、プエルトリコは米国領なので行ってきました。)。

恥ずべき自堕落な生活でしかないのですが、一点良かったことは、通常は研修の開始時点では前任のLLM研修生はビザの期間制限の関係で帰国しているのですが、早く来たおかげで、前任の研修者と親交を深められ色々と情報交換できたのは、研修をスムーズに開始するのに非常に役立ちました。ちなみに、NY Bar受けないからと言ってNYの研修先に何か言われることはありません。研修と言っても修習生みたいなものですし、そもそも合格発表は研修開始後で、最近は四大の弁護士の癖に落ちる人すらいますので(感覚的に1-2割)。

本エントリは正直な所ただただ情けない内容ですが、私の場合、NYの裁判所から正式に申立てを棄却されたタイミングが遅く、労働許可(OPT)の開始日が確定した後に研修先との調整をしました。そのため、OPT開始日までの2か月のNEET期間を回避できなかったのですが、最初からNEETワナビーと言っても許される訳が無いと思います。確か当時のOPTの期間は、卒業から2か月以内を開始日として選択でき、その日から1年と決まっていました。この時のNY Barの試験日は7月末でLLMの卒業がだいたい5月初旬だったので、卒業と同時にOPTを開始すれば約1か月は研修期間を延ばせますが、大した違いは生じません。

P.S. – NY Barの受験資格の変化

ざっとググってみたところ、NY州司法試験の資格要件は今も変遷を続けており、特に非法曹系の人は色々と検討する必要があるようですね。個人的には日本の法務がメイン業務なのに日本の弁護士資格無視してNY Bar受けるのって学歴ロンダみたいな印象もあるのですが、日本のローに行くのも現実的でないし無資格者にとっては人生変わるレベルの問題なので、必死になるのは当然と思います(学歴ロンダも別に悪い事とは思いません)。

私はNY Barを受験できなかった件についてこんなチャラけた対応しかしなかったのですが、翌年の企業派遣のLLM生(非弁護士)は私の噂を聞いて物凄い勢いで相談してきました(会社で使っている米国ローファームにまで相談したそうです…)。私は資格自体にそんなこだわりのある人間ではないので、こんな呑気に構えることができたのでしょう。

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