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弁護士の転職活動

外資系インハウスの採用プロセス – 二度目の転職

弁護士の転職活動

先日のエントリではベンチャー企業が大変おススメなことについて書きました。私も、ベンチャー企業で大変刺激的な日々を送っていたのですが、あっという間に二度目の転職をすることになりました。理由の詳細はここには書けませんが、まあ色々とヤバいことになり、私以外にも次々に会社を去っていくような事態になったからです。今回は、二回目の転職活動について書きます。

 転職活動の開始 – 情報収集と方向性の検討

やっぱりまずはエージェント

転職活動を考え始めた時点で、まずはビズリーチの履歴書を更新してプレミアム会員にアップグレードしました。すると、エージェントから続々と連絡が来たので色々情報を教えてもらうともに、弁護士専門の転職エージェントにもこちらから声をかけてマーケットの状況をアップデートしてもらいました。

夢破れて理解なし – 嫁ブロック発動と転職活動の方向性

「新しいことにエナジーを注ぎたい」という理由で法律事務所を辞めたので、別のベンチャーで再トライしたいという気持ちはありました。しかしながら、嫁からは一回目の転職の際も猛反対されており、二回目の転職活動を開始するときに「だからベンチャーなんてヤメロと言ったのに」と結果論でぶん殴られたので、探しはしましたが二度目の挑戦は無しとなりました。法律事務所を辞めてから日も浅く、もっとインハウスとしての経験を積みたいと思ったので、法律事務所は基本的に転職先候補から外しました

ベンチャーもダメ、法律事務所も無しとなると、自分のスキル的には国内の大手企業か投資・アセマネ系に絞られてしまいますが、その中で面白そうな仕事なんて簡単には見つかりません。さらには、ヨッメから「年収ダウン不可、駐在あり、安定した企業」という厳しい要件まで課され、候補は相当に絞られました。ちなみに、年収1,200万でもこの条件は満たさないし、時価総額一兆円を超えるメガベンチャーでも安定した企業にはカウントしてもらえませんでした。

そんな中、大手国内保険、不動産アセマネ、大手商社、外資IT大手、外資製薬、外資エンタメ配信、国内・外資金融、イケてるっぽいベンチャーなど色々回りました。時間もありましたし、一回目の転職活動(過去記事)は結局短期間のうちに再転職する羽目になったことだけを見れば失敗だったので、慎重に見て回りました。

記憶に残っているエージェント – 個人的にはジャストリーガル

今回活用したエージェントの中で印象に残っているのは、JACリクルートメント、for Startups、ジャストリーガルの三社です。

JACリクルートメント – 手堅くハイクラス求人を求めるならここ

ここの特徴は外資系を含む高年収のハイキャリア案件が多いところだと思います。全体的な印象としては、怪しいところの超高収入案件というよりは、安定かつそこそこ高収入・高ステータスな感じの堅めの求人が多かった印象です。今でも良さげな求人があれば連絡してくるのですが、求人の質は世間的な目線で結構高いと思います。登録用のバナーリンクを張っておきます。

for Startups – ベンチャーを検討するならまず話を聞いてみるべし

通称フォースタ。当時はネットジンザイバンクという名前でしたが、スタートアップ、ベンチャーにフォーカスした人材紹介サービスを行っており、ベンチャー企業にいた時はこちらのエージェント経由で入社した人は多かったです。

弁護士のスキル面やキャリアにはそこまで精通していないものの、ベンチャー企業の状況とベンチャーにおける弁護士のニーズは良く把握しており、四大の弁護士の目線にも合致するレベルの数多くのベンチャー企業の求人を紹介してくれました。ベンチャーの成長支援もしており、紹介企業のビジネスと創業者のことは非常によく分かっているので、紹介企業もイケてるベンチャーが多いです。ベンチャーに興味があるのであれば、こちらの話を聞いてみることを強くおススメします。

Talent Agency|Services|フォースタートアップス株式会社
ジャストリーガル – 弁護士特化求人に強い

ジャストリーガルは、弁護士専門の人材会社であり、弁護士以外の求人も多く取り扱っている人材会社には無い独自で高品質な求人を多く持ってきてくれます。ここの特徴は、弁護士に特化しているだけあって、企業側がそのポジションをどういうニーズで求めているのかを非常によく把握しており、弁護士業界にも精通しているので、求人内容と自分のスキル・キャリアのミスマッチが起きにくいことです。法律事務所に在籍していた時、電話ガチャ切りしてすみませんでした

ジャストリーガル | 法務・コンプライアンスサーチ
ジャストリーガル / Just Legal | 弊社は法務・コンプライアンスに特化した日本で最も経験豊富なエグゼクティブサーチファームです。採用担当者及び求職者、それぞれの立場において考えられるすべての選択肢を効果的且つ効率的にご提供致します。

結局LinkedIn – 謎の縁に導かれるかも

上記三社を紹介しておいてアレですが、最終的にはLinkedInで突然連絡してきた海外のエージェントの紹介で今の会社に決まりました一回目の転職の記事でも書いたとおり、LinkedInは求人条件の絞りがかけづらくこちらから探すのには不便ですが、求人側からピンポイントで狙ってくることがあり、ある程度キャリアのある人には利用価値が高いです。今回自分が転職した会社は日本人弁護士を探していたのに日本の人材紹介会社を使っていなかったらしく、そんな一風変わった求人に会えるのもLinkedInの特徴かも知れません。

新天地への転職活動 – 外資系グローバル企業に転身した理由

新天地となったのは、グローバルにビジネスを展開する米国系の外資企業ですが(ちなみに、金融でもなくGAFAの様なテック企業でもありません)、以下の点がポイントとなりこの会社に決めました。

①スキルセットと担当業務の合致
②独自の環境
③グローバルな法務組織
④外資の割にアットホーム
⑤時差無し
⑥妻の機嫌

1. スキルセットと業務の合致 

応募したポジションでは主に日本の案件をやることが期待されていましたが、社内規程や取締役会等の議事録を初めとする会社関係書類の作成といった、弁護士でなくてもできるようなジェネコ業務は求められず、東京にいながらアジア本部の一員として新規案件にフォーカスするという仕事内容が、トランザクションローヤーとしての自分の経験にフィットしました。アジアの他国の案件も担当できるというのも魅力的に映りました。

2. 独特の環境 

上司となるHiring Managerは英語ネイティブの外国人でした。これだけなら外資では普通ですが、これに加え、アジアチームの弁護士が数十人もいる中で日本人は自分だけという環境について、他ではなかなか体験できない貴重なチャンスだと感じました。

3. グローバルな法務組織

アジアチームで数十人、アメリカ、ヨーロッパも含めれば3桁に登る弁護士で構成されるグローバルな法務組織の在り方について興味が湧いたのも、この会社に転職したいと思った一つの理由です。ベンチャーでは法務組織の在り方について手探りで考えていましたが、インハウスの存在が当たり前のグローバルかつ大規模な法務部門の運用に触れることは、今後のキャリアにも役立つと考えました。

4. 外資の割にアットホーム

選考の過程でアジア本部まで面談に行きましたが、社内クライアントとなるビジネス部門の部長・リーダー格にも法務部門のメンバーにも、外資にイメージしていたサバサバ感がなく、長く働くイメージが持てました。わずか一年程度で転職活動を再開していたので、今回はある程度の期間勤続したいという思いは強かったです。

5. 時差無し

アジア本部に多くの権限があるので、一緒に仕事をする人との時差は基本的に1時間、大きくても2時間です。外資系に勤務したことのある人や、欧米(特にNY)と仕事をしたことのある人なら分かると思いますが、時差を乗り越えて仕事をするのは予想以上に辛いし、日本側が合わせることが殆どです。

最近は香港やシンガポールにアジア本部がある会社は多いですが、QOLを向上させるうえでこれは非常に有難いです。転職先を決める決定的な要素にはなりませんが、実際に働く際には結構影響のある問題であることは意識しておいた方がいいです。

6. 妻の機嫌

先ほど、ヨッメから「年収ダウン不可、駐在あり、安定した企業」という要件を課されたと述べましたが、この会社は二番目の要件(可能性ゼロではない)を除いて問題ありませんでした。ヨッメの反応は「あの〇〇!」とポジティブで、喜んでくれるのが自分としても嬉しかったです。ベンチャーにいた頃はボロクソ言われたものです。どんな道を選んでもサポートするのか、人生をともにする以上積極的に口を出すし条件も出すのか、それはそれぞれの夫婦の在り方だと思いますが、自分としては、自己実現は重要視しながらもヨッメも喜んでくれる仕事をするのは、非常に大きなことだったんだなと思いました。

なお、キャリアアップというよりは後ろ向きな転職だったので金銭面では厳しいと思っていましたが、そこはさすが外資、年収面では若干ながらUpとなりました

選考プロセス – 外資の選考プロセスは意外と慎重

長い選考プロセス

外資系ではHiring Managerの権限が強いしダメだったらクビにすればいいから、選考プロセスはシンプルなのかと思っていましたが、意外と外資の方が面接回数は多い傾向にあります。今回の選考プロセスは以下の通りでした。

①上司となるHiring Managerと電話面談
②東京オフィスでビジネス部門と面談&上司からのテスト問題
③アジア本部で上司、リーガル副部長・本部長、ビジネス副部長・本部長と面談
④米国のリーガル人事グローバルヘッドと電話
⑤米国のゼネカンと電話

当然英語面接 – 想定問答は用意しておけ

面接は日本のビジネス部門との面談を除いて当然英語でした。採用面接の質問なんて決まり切ってますし、受かってしまえばこちらのものなので、論証パターン用意して堂々とカンニングしましょう

実際には、米国英語で無いからか、上司の英語の聞き取りに非常に苦労して普通に落ちたと思いました。落ち着いて考えたら、あんなの日本人候補者はみんな聞き取れないので杞憂でした。このブログで何回か触れていますが、アジア諸国と比べても、日本人の英語は留学経験のある人ですら下手です。なので、外資系だからと言って必要以上に怯えずに、「日本人は自分もみんなもサルだから、人間に伝わるコミュニケーションができれば合格」と思って臨めば意外と選考段階はパスできるかも知れません。

日本での電話面接とオフィスでのインタビュー

上司との電話面接は手応えがありませんでした。「こういう問題が起きたらどのように交渉する?」「ビジネス部門にアドバイスするときに心がけていることは?」「日本オフィスで独りで仕事するけど大丈夫?寂しくない?」「定期的に海外出張あるけど大丈夫?」などと、ほぼ想定内の質問でしたが、正直うまく聞き取れず、満足のいく回答ができたとは言えません。

その一週間後くらいに、東京オフィスでビジネス部門と面談をして、上司から用意された課題(契約書のリバイズ作業)を実施したのですが、これが自分のスキルと非常に合致していました(ブラック事務所での経験に感謝)。他にも候補者はいたらしいですが、当該面接後、エージェント経由で非常にポジティブなフィードバックが帰ってきました。

そして、交通費と宿泊費を出すから、可能ならアジア本部で面接したいと言う連絡がきました。ここまでする会社は少ないかも知れませんが、社内弁護士というそれなりのポジションなので、アジアに上司がいるのなら同様のケースがあっても可笑しくないです。自分が採用側であれば呼び出したいですね。

既に受かった気になるのは早計とはいえ、流石にまるで採用する気も無いのに日本から呼びつけることはしないでしょうし、この時点で、ここまでしてくれるならこの会社で働いてみたいという気持ちになっていました。

アジア本部でのインタビュー

ということで、有休を取って採用面接のためにアジア本部まで行ってきました。面接のために海外まで行くのは人生初めての経験で、どちらかというと緊張よりも興奮していました。

既に自分を直接監督する上司の審査はパスしたので、ここから先は減点方式のネガティブチェックだということは何となく感じていました。無駄にアピールする必要は無く、地雷さえ踏まなければいいという状況は私の得意とする所ですが、英語での面接ということで多少の不安はありました。

実際には、シンプルに良い人達ばかりだったので、どのインタビューも和気あいあいと話をして終わりました。意外に外人は家族の話とかプライベートにしれっと踏み込んでくるので、豊かな人間生活送っているほうが上手く行きやすいと思います。

インタビュー後、オフィスで時間をつぶして、合間にエージェントとお茶もして、ビジネスアワー後に上司と他の同僚とディナーに連れていってもらいました。ここでベロベロになるまで上司と飲んできたのが決め手だったと思います。落ちていたら、ただの恥ずかしいジャップです。ここまで来たら既にこの会社で働く気満々です。

米国本部とのインタビューは通過儀礼

上司からは飲み会の別れ際に、「次のステップに進むことになれば、形式的なもの(formality)だけど米国本部との電話インタビューをしてもらうことになる」と言われました。まだ面接があるのかよと思いましたが、日本に帰ると、選考を進める意思の確認と日程調整の連絡がきました。

まずは米国のリーガル人事ヘッドのインタビュー。formalityっていうから油断してたら、意外と怖くてなんか色々ド詰めされました。そういうキャラらしいです。

ラスボスはゼネラルカウンセル。一つ前のインタビューが厳しかったし、グローバルのトップとの面談ということで多少は構えて臨みましたが、こっちの方が全然カジュアルでした。米国は朝、こちらは夜でしたが、出勤前の朝のコーヒータイムのついでに雑談するくらいのノリでした。

リファレンスチェック – 外資系企業では必須

こうして長い選考プロセスを経て無事オファーレターをもらいましたが、外資系企業では、リファレンスチェックといって、前職の上司など数名に対して、候補者の素行・能力面等で問題がないか(選考プロセスの情報と齟齬が無いか)、エージェントがヒアリングを行うという作業があります。

退職前に現職の上司に頼むというのは難しいと思いますが、初めて転職する人がどうしているのか正直分かりません。今回は、事務所にいた頃のパートナーと先輩アソシエイト、それから、部長クラスの同僚(お互い転職活動中)の3名にお願いしました。リファレンスチェックは外資系では当たり前ですが、意外と適任者を見つけるのに困るなと思いました。

以上をもって二回目の転職活動は終了しました。余談ですが、オファーが出てからこれを受諾する間に担当エージェントが転職しやがって、「転職エージェントの癖にお前が先に転職決めてどうすんだよゴラァぁぁ!」という珍事もありました。

かくして、世間的にはボチボチ立派なグローバル企業のインハウスに転職することになり、当面は落ち着いた暮らしになるかなと思っていましたが、その後まもなく得体の知れないウイルスによって状況が激変することになろうとは、このときには知る由もありませんでした…

p.s. 在籍期間一年で転職ってヤバくないの?

弁護士という専門職とはいえ、前の会社での在籍期間が短いことについてはどこの会社の採用面接でも質問されましたが、起きてることがヤバ過ぎたせいでどこでもすぐに理解してもらえたのは不幸中の幸いです。実際に、上場前のベンチャー企業や国内の大手金融機関からも内定を貰ったので、今回はマイナスには働かなかったものと思いますが、一般的には在籍期間一年での転職(複数回ならなおさら)というのはRed Flag Issueでしょう。

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