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弁護士の転職活動

四大アソシエイトの転職活動 – 年収1,000万円Downした件

弁護士の転職活動

また更新をサボりました。誰かの為にやっている訳でもないのでこのスタンスで良しとします。

時間が空きましたが、転職に至るまでの事務所での生活に関する記事に続き、最初の転職活動について書いていきます。

転職活動の始め方 – とりあえずビズリーチ。まずはエージェントに話を聞け

今は弁護士の転職ツールも増えており最初の取っ掛かりに困ることも減ってきましたが、やっぱり、求人情報を持っており、マーケットの状況を良く把握しているのは転職エージェントです。まずはエージェントと連絡を取って情報を得るべく、「おい君、彼はいったいどこで!?」のビズリーチ(BIZREACH)にとりあえず登録してみるのが無難と思います。

既に認知度もかなり高まっていると思いますが、登録者とエージェント(ヘッドハンターと呼ばれていますがただのエージェントです)を繋ぐサイトで、自分の情報を登録すれば、巷のエージェント(要は人材紹介会社)が求人情報をもって連絡してくる仕組みです。ビズリーチ自体が会社を紹介してくれる訳ではありません。

ビズリーチで紹介される案件は、四大のアソシエイトであれば、年収800-2500万くらいの、世間ではハイクラス求人と呼ばれる求人が多い印象です。各種人材紹介会社に直接登録してもいいのですが、多くの会社がビズリーチにも登録しているので、実質的にビズリーチ一つに登録すれば多くの人材紹介会社への登録を兼ねると考えてもらえばいいかと。

なお、プレミアム会員にはアップグレードしましょう。初回登録であれば通常30-60日くらいは無料でプレミアム会員になれるので、その期間内に転職活動が終われば費用はかかりません。また、有料でもせいぜい月額5,000円程度であり、転職活動にこの金額をケチって選択肢が狭まるのはあまりにも馬鹿馬鹿しいです。この額をケチるくらいなら転職やめたほうがいいです

登録したら、四大の10年目前後の弁護士であれば(あるいは数年目であろうと)、引越の見積もりサイトに登録したときのごとく複数のエージェントから連絡がきます。最初は躊躇するかも知れませんが、軽い気持ちで、気になったエージェントと会うか電話で話してみればいいです。エージェント側も数打ちゃあたる戦法なので、この段階ではあまり真剣に考えずに話してみる or 無視すればいいです。

今はコロナで難しいかも知れませんが、基本的には、事務所近くのカフェやホテルラウンジまで会いに来てくれます。事務所の人に見られるリスクが嫌なら電話でもいいですが、弁護士業界を専門にしてるエージェントや、自分の内定先を紹介してくれたエージェントとは一度直接会った方がいいと思います。また利用する可能性は思っているよりも高いですし、懇意にしておけば、定期的にマーケットの情報もアップデートしてくれます。

エージェントと面談をしたら、たいては面談の際に話題にあがった求人情報の詳細を送ってくるので、それを見て良いかもと思えば一次面接の設定をお願いすれば良いし、そうでなければ普通に断れば良いです。

外資系企業や独自の求人に出会える可能性の高いLinkedIn 

自分は最初の転職活動のときには使いませんでしたが、余裕があればビズリーチに加えて、LinkedInにも登録したら良いと思います。ビズリーチと重複もありますが、LinkedInは外資系企業の求人の比率やエージェントを通さない独自の求人が多い印象があります。私が現在勤務している外資系企業も、LinkedIn経由で香港のエージェントが紹介してくれたものです。

一応求人情報とかも出ていますが、希望する条件(業種・希望年収・役職等)に絞りをかけてこちらから探しに行く機能はあまり充実しておらず、プロフィール欄・キャリア内容を見て求人側がピンポイントでコンタクトを取ってくるというパターンが多いです。そのため、求められている人材も比較的上のレベルのポジションであることが多く、ある程度キャリアのある人でないとヒット率が低いかも知れません。国内の事務所のアソシエイトとマッチする求人はそんなに無い気がしますが、掘り出し物の求人に遭遇できる可能性もあるのがLinkedInだと思います。

インハウス求人の年収の相場 – 大幅Downは覚悟しろ

コロナもあり既に相場が変わっているかも知れませんが、四大出身のインハウスの相場はざっくり以下のようなイメージです。

・国内事業会社 800-1200万
・国内大手金融機関 1000-1500万
・ファンド、資産運用会社等  1000-2500万
・商社 1000-2000万弱
・外資系企業 1000-2500万

上限だけ見ると結構良い条件に見えますが、2500万なんてのは結構例外で、基本的に大幅な年収ダウンを覚悟する必要があると思います。国内の事業会社で1000万行く求人は少ないのではないかと。私はおよそ1,000万円年収ダウンしました。

なお、転職市場は前職ベースで給料が決まることが多いのですが、大手事務所からの転職の場合はあまり当てはまりません。どこも9時5時(AM)で働く前提で給料を設定していないからです。国内企業の場合は給与体系の柔軟性が低く、四大と同じような水準の給料を出すのは無理な話なので、年収が激減するのは避けられませんが、普通の社員に比べると高い水準になるケースが多い印象です。

法律事務所への転職活動は全くしておらず、求人も「経験によって相談」としか書いてないケースばかりなので良く分かりません。ただ、四大ではパートナーになるまでに10年くらいかかりますが、通常はパートナーへの昇進時期はもっと早いので、転職と同時ないしはすぐにパートナー相応の年次なる他事務所への移転後のキャリアは、シビアに考えるべきだと思います。

採用面接 – 激務をこなしながら面接時間を作るのがキツい

大手法律事務所で勤務していると採用面接のための時間を作るのが大変です。多忙の中、移動時間(約30分)と面談時間(約1時間)を、ビジネスアワー中に確保しなければなりません。今となってはコロナのせいでリモート面接も多くなっていますが、普通は相手の会社まで面接に行きます。

弁護士の勤務体系には比較的裁量があるので、事務所に戻ってから徹夜する覚悟でいけば勤務中に抜け出すことはできます。なるべくオーラを消してこそこそ出かけましたが、回数を重ねるごとに同部屋の弁護士からは怪しいと思われていました。

通常、法務職の場合は面接回数は3-4回だと思いますが、会社によってはもっと多いところもあります。逆に1-2回というのは珍しいかと。会社の規模等により違いますが、国内企業だと以下のような感じではないでしょうか(多少順不同)。

1回目 – 人事による会社紹介→同僚&直属の上司と面接
2回目 – 部長クラス
3回目(最終) –  本部長、役員・社長レベル

採用側も経験したことがある身から言うと、最終面接まで行けば落ちることは少ないのは事実ですが、司法試験の口述よりはよっぽど落ちます。最終面接の担当者と噛み合わないときは最終でもあっさり落ちます。こればっかりは相性なのでどうしようもありませんし、単純に同時に採用活動していた候補者が選ばれだだけというケースもあります。なお、ベンチャーや中小は社長次第というのは否定しませんが、そんな会社は採用担当者も社長の性格を良く分かっており、社長面談までにサイコパス社長の目に耐え得る人を厳選してあるので、むしろ落ちにくい説もあります。

弁護士の転職活動に面接のコツなんて無く、人間力で勝負するしかありません。弁護士の専門家としてのスキルは採用側に見抜く力が無いことが多くあまり厳しくチェックされませんが、知性は示す必要があります。

最近は大手の大量採用に伴い変わってきていると思いますが、通常の就職活動を経ていない弁護士の悪い癖として謙虚になり過ぎる(アピールしない)ケースがあります。実績や長所は許容範囲内で誇張しましょう。スキルは採用側に見抜く力が無いと言いましたが、逆に言えば、条件面がマッチしないといった理由が無いのに落ち続ける人は人間的に問題があるケースも少なくないので、冷静に自分を見つめ直してください。

実際の転職活動先 – 潰しの利かない金融ローヤー

全ては覚えていませんが、私の専門が金融分野だったので、主にスカウトが来たのはファンド、アセマネ(株式・不動産)、銀行、証券、保険といった所でした。ベンチャーや事業会社には自分の希望とマッチするものが少なく、金融ローヤーの潰しの利かなさをここにきて感じました。これは金融の専門性の高さの裏返しでもあり、その分、金融業界で転職する分にはあまり困らず、求人のサラリーも相対的に高いという長所もあります。

法律事務所の求人は、外資・四大監査法人・国内準大手・四大の元パートナーの独立事務所というのが中心だったと思います。

当時の志向として、伝統的な国内大企業は面白くないし自分には務まらないと思っており、また、外資系企業に行ってもジョブホッピングを繰り返す根無し草になりそうだなと思っていました。そこで、思い切って新しい事をやろうとべンチャー企業を探してみました。ベンチャーといっても、アーリーステージは流石に収入的にも厳しいので、資金調達もある程度終え既に上場も視野に入っているレイトステージのベンチャー中心に探しました。

結果、上場前のベンチャー会社から無事内定を頂きました。他にも気の合う会社から内定を頂き、悩んでいると伝えると提示年収も上げてくれたのですが、当時は、どうせなら全く新しいビジネスに関与してみたいと考え、ベンチャー会社の内定を受諾するに至りました。

日常的な転職活動(準備)の重要性 – 転職はタイミングが大事!

二回の転職を経た今でも、一回目の転職が失敗だったとは思っていません。ただ、冷静に振り返ると、日ごろから情報を仕入れて色々見ておけば、より選択の幅は広がり、失敗のリスクも抑えられると思いました。

たくさん面接しろという意味でなく、転職市場はポジションに空きの出るタイミングが不定期なので、日頃どういう求人が出ているか見ておくことで、その時点で転職するのがベストなのか、もう少し機を待つべきなのか考えることができます。また、ずっと求人の出ている地雷ポジションっぽいものにも気づくことができます。

自分の場合は、時間も精神的な余裕も無かったので、割り切って対象を絞ってスピード重視で活動しましたが、たまたましっくり来るポジションが見つかったのは幸いでした。事務所がアソシエイトの将来を保証してくれる訳ではないので、実際に転職するかはともかく、在籍中に転職のための情報を仕入れたり転職について検討することは何も悪い事ではありません。弁護士のキャリアも多様化し、転職活動も多様化している中、情報量で後れを取ってしまうことは非常に勿体ないので、変な遠慮はすることなく、日頃からエージェントと話をしてみることをおススメします。

次回は、内定後の動きについて若干の補足記事を書こうかと思います。

 

コメント

  1. NB より:

    本日初めてこのブログに辿り着きました。とても貴重な記事をありがとうございます。
    内定後の動きに関連して、どの時点で退所を宣言し、既に進行していた案件をどのように処理されていったかについて興味があります。差し支えなければ今後触れていただけると幸いです。
    次回の記事も楽しみにしております。

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