立つ鳥後を濁さず – 企業法務弁護士の退職活動

法律事務所

前回記事で宣言したとおり、一回目の転職活動における内定後の動きについて少し補足していきます。前回記事をご覧頂いた方からありがたいご質問を頂戴しましたので、その辺にも可能な範囲で触れたいと思います。

内定受諾

転職活動の話に戻ってしまいますが、過去メール等を振り返ると、ビズリーチに登録してから一か月半くらいで内定オファーをもらっています。企業も人が足りないから募集をかけているわけで、良い人が見つかれば毎週(あるいはそれ以上のペースで)面接を入れてくるので、最低3回は面接するにしても、決まるときは短い期間で決まってしまいます。それでも、二回目の転職活動には3-4か月かけたことからすると、一回目は早いほうだったなと思います。

内定オファー後に受諾するかどうかグズグズ悩む時間はないですね。先方も、ダメなら選考を再開しないといけないので。他の会社の選考も最終段階ということで1-2週間前後待ってもらうのがせいぜいかと思います。ですから、複数選考を抱えているときは、面接の段階をうまく揃えながら進めていくしかないでしょう(のんびり進めている間に他の候補者に決まってしまうというリスクもありますが)。

 

退職宣言

さて、内定を受諾したら、次は退職活動です。個人的には、転職活動よりも退職活動のほうが精神的にはよっぽど大変でした。色々と思うことがあって退職する決断に至ったものの、多大な恩のある人達に退職を切り出すのはやはり辛いものです。

とはいえ、内定先も本当に退職するのか気にかけているのが通常ですし、内定を受諾した以上はそこから引き返すという判断はありません。いや、自分の人生なので好きにしたらいいし、気が変わってしまうという例はありますが、私の価値観とは異なります(気が変わるタイプは選考の時点でなんとなくそんな空気醸し出しているし、そんな人間だから、そこまでがっかりされないケースも多いですけどね)。通常は、なるべく早い方が吉だと思いますし、私も内定受諾から数日内には上司に話をしたと思います。

俺氏「部長、これを、スッ…(辞職願)」

部長「なんだねこれは…ビリビリー!」 or 「(中略)とにかくこれは預かっておく」

みたいなのが漫画・ドラマの世界ですが、時間をもらって直接話をするのが現実世界の王道ではないでしょうか。さすがに、退職代行を利用する弁護士は存在しないでしょう。私は普通に上司が忙しくない時間を見計らって話をしに行きました。当然気まずいし、色々とつもる話もあるでしょうが、淡々と(あるいは情熱的にでも)話を進めるしかありません。

退職報告のタイミング

先ほど、退職の報告はなるべく早い方が吉だといいましたが、必ずしもそう単純でなくて、一応考慮すべき要素もあります。

①一つ目に、契約 or 所内規則上の事前通知のルール、②二つ目に、進行中の案件、③そして三つ目に、ボーナスの時期です。先に言っておくと、私の場合、退職日の2カ月弱前に正式に意向を伝えました。

 

① 事前通知のルール

大手法律事務所はアソシエイトとは「偽装委任委任契約」という建前を取っているのが通常でしょうから、労基法のルールは必ずしも当てはまらないのですが、内規か契約(もしあれば)で、1-3か月の事前通知期間を設定しているのではないでしょうか。これは転職活動中にも聞かれるので事前に確認しておくべきです。3か月ともなると、「もっと早くこれないの」と転職先からちょっと嫌な顔をされると思います。

1か月切ると若干引継がキビシイ感じもありますが、辞める決意をしたアソシエイトを拘束しても仕方がないので、このルールを盾に退職日に文句を言われるケースは少ないと思います。とは言っても、「今週をもって辞める」などと突然言えば怒られますし、周囲に迷惑もかかりますので、1-2か月くらい時間を見るのが穏当なのではないでしょうか。

② 進行中の案件

代わりがいないのは事務所の人事・運営の結果であり、代わりがいないようなアソに退職の決断をさせてしまうのも事務所の責任です(なんだかんだで常に代わり他のアソへの押し付けは利きますけどね)。組織の問題を、雇われの身のアソシエイトが背負う理由は大してありませんので、進行中の案件のケアは、最低限これだけは片づけていこうと自分の良心が思う範囲で十分というのが私の考えです。そうでないと、まともなアソなら案件が途切れることなんてありませんし、いつまでたっても辞められません。

私は、取扱業務の性質上、長期にわたるような案件は少なく、基本的には新件の受注を止めるだけで退職までに徐々に手持ち案件は消化されていきました。それでも終わらない案件はありましたが、別のアソを入れてもらって徐々に引き継いでいくような形で対処しました。引き継ぐアソさんにはドンマイとしか言いようがありません。

③ ボーナス

これは多くの人が気になることだと思いますし、退職後に私も何度か相談を受けたことがあります。

ケースバイケースですし、事務所によってボーナスの仕組みからして違うと思いますが、私の周囲では、退職することが判明しているアソについて、全額支給したケース、減額したケース、不支給にしたケース、(噂ベースですが)どれも認識しています。転職先には、「え、退職するって分かってるのにボーナスもらえる人がいるの!?」とビックリされました(外資系の色が濃かったからか)。

ボーナスは決して小さくない額であることが通常ですし、可能な限りボーナスをもらった直後に転職活動or 退職宣言をしたいものですが、タイミングが合わないときは、ボーナスの減額等も覚悟しておいたほうがいいと思います。

理論的にはボーナスは勤労の対価なので、もらった直後に辞めることは不義理でもなんでもないと思いますし、外資系金融とかだと当たり前の慣行ですらあると思います(退職のせいで減額されることにも納得いかないかもしれませんが、そこはもう、ビジネスでやっている以上仕方ないですかね)。

退職日までの暮らし方

退職の話が公になってからは、正直やる気はあまり起きませんでした。もちろん、最低限の引継作業と案件処理はしていましたが。

退職の報告後は、だんだん暇になっていくのが通常ではないかと思います。留学の場合は、出発直前までこき使われるケースも聞きますが、さすがに退職の場合はそんなことする鬼畜パートナーは稀だと思います。

時間ができれば、邪魔にならない範囲で苦楽をともにしてきた同僚との時間をかみしめるもよし、次の職場の準備をするもよし、有休(?)消化ってことで旅行等してみるも自由だと思います。周りもだんだん、自分を(ほぼ)いないものとして扱うようになってきます。

冷たい目で見られる人もいれば、温かく送り出してもらえる人もいます。これはそれまでのその人の行いによるとしか言えません。いずれにせよ、「顔色がよくなったね」とか皮肉・嫉妬の口を(冗談で)叩かれるのは大手を辞めるアソの宿命ですが、そんなの意に介さず逆に笑い返せるくらい、精神状態が良好になっているケースが大半です。

クライアントへの連絡は、引継ぎとかの関係で話をする機会がある場合を除き、比較的、最終出勤日の直前(ないし当日)になるケースが多いんじゃないですかね。日頃、クライアントから突然退職の連絡がくることも目にしているかと。退職の連絡をしたときは、色々な方から有難いお言葉を頂き、ここまで頑張ってきて、本当によかったと思いました(しかし、その後とくにつながりはありません…)。

 

そんなこんなで、過酷ながら刺激的な時間を過ごした事務所を飛び出して、レールを脱線した企業法務マンの道をさすらい始めることになったわけです。

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