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四大で英語は必要? – 英語話せなくても十分やっていける件

弁護士と英語

現在は外資系企業に勤務しているので、日常の業務において英語は必須となっております。新しい上司はフランス人ではありませんが英語ネイティブの白人で、ボディーランゲージも通用しません。実際には外人にもボディランゲージは通用しますが、海外にいるので使いようがありません。これはチャンス、というか普通にピンチということで、留学から帰国ぶりに勉強し直すことにしました。今回は、四大で勤務していた頃の業務と英語の関係について、自分の経験を踏まえて話をします。

就職活動 – 0点でもOK、準ネイティブレベルでなければ意味ない

一部のロースクール(特に東大)で必修になっていることもあり、四大の就職活動においてもESにTOEIC又はTOEFLの点数を記載するのがデフォルトになっていますが、採用側としては基本的に気にしていないと思います。私の時は、ロー受験も見据えて試しに受けてみた期限切れのTOEICの点数を書いておきましたが、一顧だにされませんでした。「英語に苦手意識は?英語アレルギーでなければ別にいいよ」的なことは言われました。

TOEIC900点超え又はTOEFL100点越えとかだと若干印象に残るかも知れませんが、「A君とB君は総合評価は同じくらいだけど、TOEIC(TOEFL)の点が高いからA君採用しようか」とはならないと思います。採用側の弁護士にも留学準備でTOEFLで苦労した人は多いので、TOEFLの方が受けは良いですが、それでも大して重要視はされません。帰国子女・準ネイティブレベルになると流石に「おっ」となります。

したがって、留学のことも考えると高い点数を取れるに越したことはありませんが、普通の日本人にとっては、四大の就職活動を見据えてTOEIC/TOEFLを頑張るというのは費用対効果が悪いです。もちろん、国際的な業務分野を志望しているのにTOEIC500点とかだと流石に厳しいですけど。

留学前における英語 – 話せなくても生きていける

文書でのコミュニケーションが中心 会議等はシニアが対応してくれる

留学前の段階では、英文の契約書その他法律文書のレビュー・翻訳や、海外の法律事務所又はクライアントとのメールでのやりとりがメインだと思います。個人の英語レベルと業務分野にもよりますが、電話(口頭)でのやりとりまで日常的に行うことは少なく、その気になれば留学まで一回も英語で電話しないことも可能です。

英文契約書は普通の文章とは違う独特な部分もありますが、ちゃんとした大学出ている人なら、いくつか案件をやればそれなりにレビューできるようになります。メールも、多少のビジネス作法は外人や先輩のメールを見て学ぶ必要があるものの、弁護士のコミュニケーションは受験英語+αでなんとか対応できる内容のものが大半です。法律英単語はggrks。

徐々に時代も変わってきたかも知れませんが、海外との電話会議など、口頭のやりとりは基本的にパートナーや留学後のシニアアソが仕切りますし、「若手でも英語くらいしゃべれて当然」とはなっていません。もちろん、話したければいくらでも機会あると思います。会議メモは作らされるかも知れませんが、そこは適当なこと書くしかありません

英語ができる悲劇 – 便利なロジ係にならないように

最近では四大法律事務所が「渉外」と呼ばれることも減ってきましたが、今は国内の企業法務の比重も大きく、英語が全くできなくても十分に案件はあるし、肩身が狭いこともありません。「自分、英語できませんからー、残念っ!」と案件を断るケースすらあります

逆に、英語ができるが故に海外案件のロジ係にされ肝心の日本法弁護士としての作業に関わる比率が減ってしまうという悲しい事例を目にすることも少なくありません。ディールを仕切るFAの証券会社とかにもそれっぽい人を見かけます。海外案件から学ぶことも多くありますし、独禁やプロファイなど海外案件を通じて専門スキルを身に着ける必要性の高い分野もありますが、我々の中核的な存在意義は日本法の弁護士としてのスキルであり、海外事務所とのリエゾンするだけなら弁護士でなくてもできるということは意識しておいたほうが良いと思います。

留学準備 – 仕事をサボれば勉強ができる

業務と関係ないですが、留学前の英語との触れ合いということで、留学のためのTOEFL(イギリスはIELTS?)の準備が必要になります。TOEFL対策は既に語り尽くされていると思いますが、キマジメに働いているアソシエイトにとって何よりも大変なのが勉強するための時間を作り出すことです。

見事に仕事と勉強を両方こなすスーパーマンも稀にいますが、通常は、仕事が優秀であるほど勉強の時間が取れません。英語を勉強するための時間を十分に確保できている人がいれば、①優秀じゃないので干されている、②それなりに優秀だけど勉強のために仕事断るのが平気な最近の若者のどちらかです。

仕事を断らないのが正義という訳ではないので、②のタイプが悪いとは思いませんが、全員が同じことして事務所が回る時代にはまだなっておらず、②のタイプの裏側には、高確率でその人が断った仕事で徹夜・休日勤務するアソシエイトがいますパートナーがカバーしろよと思いますが、これが労働基準法の適用されないアソ放題の現場です。まあ、仕事を調整するのはパートナーの仕事ですので、変な義務感に捉われずに適当にやりましょう。

留学後の英語 – 意外と使わない

初めに強調しておきますが、結構な確率で、留学しても英語はそんなに上手くなりません留学から帰ってきても英語が下手な人もいれば、英語の案件をほとんどしない人もいます。また、英語に触れる機会が減ると、英語能力は劇的に低下していきます。英語案件が増える人も多いですが、必ずしも留学帰りだからといって英語案件ばかりになるわけでもなく、英語力を維持するのは簡単ではありません。

アウトバウンド案件の増えているコーポレート分野では、主なクライアントである日本の事業会社は必ずしも英語・買収取引に慣れておらず、現地弁護士とのやりとりも含めて日本の法律事務所のサポートを必要とするケースも多く、頻繁に英語を使う傾向があるのではないでしょうか。

一方、ファイナンス分野では、金融機関を初めとする登場プレーヤーがそもそもグローバルに活動しており、日本の当事者であっても相対的に英語アレルギーが少なく、現地弁護士を直接使いこなせるので、アウトバウンドでは日本の弁護士を必要としないケースが相対的に多いでしょう。例えば、海外案件の多いプロジェクトファイナンスについて考えてみても、日本の弁護士を介在させる必要性が分かりませんし、仮に自分がインハウスであれば、英語能力もプロファイ案件の経験値も高い英米のローファームと直接やり取りすれば十分と考えます。M&Aファイナンスで、海外拠点の資産も担保に取るから現地弁護士と協働するといったケースもありますが、交渉の中心であるファイナンス契約は普通の日本法の契約ですし、海外マターが大きな比重を占める訳ではありません。そうすると、外国企業のインバウンド案件が主な英語の使用場面になるのかも知れませんが、インバウンド案件の相手方は日本なので、契約書を英文にすることはあっても、英語でバリバリ契約交渉会議というのは稀だと思います。

これだけだと留学後も英語があまり必要でないかのように聞こえますが、上記だけが弁護士の業務では無いしそんなことは決してありません。日本の法律事務所の海外支店開設は最近のトレンドですし、英語を活かすチャンスはいくらでもあります。ただ、留学後はみんな英語ペラペラで世界を股にかける弁護士になるかは人や分野によりけりで、留学帰りでも日本の器に収まることは珍しくないということです。

 

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