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法律時事

実務修習 – 修習地は田舎に行け!

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前期修習が終わると、司法修習の中核と言って間違いない実務修習が各地で始まります。修習生が各都道府県に散らばって裁判所・検察庁・法律事務所のそれぞれで研修することになりますが、都会で修習するのか田舎で修習するのかで様相が多少変わってきます。ですので、まずは修習地の選択について少々語ります。

要点としては以下です。

①実務修習は田舎に行け!那覇修習のリア充は爆発しろ。
②田舎は財布に優しい
③田舎は人にも優しい
④二度と田舎に住むチャンスはない

①実務修習は田舎に行け!

修習地の決まり方ですが、まず、全国の各都道府県の中から修習希望地をいくつか選んで申請します。希望申告にあたっての制限等(ド田舎も〇個希望に入れる必要がある等)、色々な事情もありますが、私の偏見では、面白味の無い人(偏見)や就職活動のある人達は東京・大阪といった大都市を好みますちょっと背伸びしてみたい人は福岡・広島・仙台といった、良く言えば丁度いい感じ、悪く言えば中途半端な場所を志向します田舎を積極的に志向する人はあまりいません、なんせ田舎ですから

田舎の修習は素晴らしいと良く言われますが、田舎に当選した人は大抵ハズレくじを引いたと思って赴任します(私もそのクチです)。なお、那覇修習という羨ましすぎる修習地がありますが、当然希望する輩も多く激戦区です。私のときは、那覇は新司法試験組に割り当てられていたのでノーチャンスだったのですが、那覇修習だった人間に会うと基本的に殺意を覚えます。那覇修習のリア充は爆発すべきなのでこの記事では無視して考えます

個人的意見ですが、就活に不安がなければ田舎しか勝たんと思います。理由は以下のとおりです。

(2021/9/30追記。都市部の就職活動の難易度を考えると、就活という観点からも田舎は色々と利点があると思います。弁護士の仕事内容・収入は他の職業に比べると地域差が少ないですし、現時点ではまだむしろ田舎のほうが商機が残されているようにすら思います。何よりも、当地のほぼ全ての弁護士の評判が入手可能なので、ボス弁ガチャに外れるリスクをかなり抑えることができます。もちろん、赴任時の家族環境も考慮する必要はありますし、実際田舎に訪れる前からその地に定着する心の境地に達するのは困難なので、田舎に赴任することになったら当地に就職することも前向きに考えてみてはどうかという程度の話に過ぎません。)

②田舎は財布に優しい – 美味くて安いメシと安い家賃

まず、田舎は飯がうまくて安いです。米どころに行けば日本酒はうまいし、九州は飯も焼酎もうまいし、海があれば魚がうまい。田舎なので、価格的にも修習生の給料で十分美味しいものが楽しめます(本当に美味しいものは弁護士にたかってください。本物の弁護士なら奢ってくれます)。

家賃もべらぼうに安いです。修習生の給料で住める家が中心地にあります(中心地もさびれていますが…)。東京で通勤1時間程度の家を借りるのに必要なお金で、市の中心部の裁判所まで徒歩5分みたいな家が借りられます。多少の地域手当の差はありますが、全国で同水準の給与が支給される修習生にとってこれはデカいです。

また、徒歩圏内なら終電も気にしなくていいので、遅くまで飲み明かしても余裕です(逆に言えば、飲み会から逃げられません)。これ重要です。

③田舎は人に優しい – 法曹も地元民も優しい

田舎は法曹コミュニティが非常に狭く、修習生に大変優しいです。今はそんな時代も終わっているかも知れませんが、法曹同士(裁判官・検察官・弁護士、さらには一部の裁判所・検察庁スタッフまで)はほぼ全員知り合いで、修習生はみんなの弟分として大変可愛がってもらえました。「〇〇事務所の××先生は…」「あの裁判官は…」「〇〇先生は好かんわ、いやらしいことばかりする」みたいに、他の法曹に対する見方について、それぞれの立場の本音トークが聞けるという修習生の特権も最大限に活かせます。修習生の人数も多過ぎず、都市部での修習に比べると確実に深い関係が築けます。

また、田舎なので(?)人々も大変温かいです。同期の友人は、山奥であぜ道に脱輪して、近所の農家に助けてもらいお茶までご馳走になり、人にやさしくされて自分の小ささを知りましたとほざいていました(そもそも、都会にいればあぜ道に脱輪せずに済みますが。)

④二度と田舎に住むチャンスはない – いや帰って来いよ

大手の法律事務所に入って、ニューヨークやロンドン、シンガポールなどの大都会に留学・駐在することはありますが(アメリカのド田舎のロースクールに留学するケースも普通にありますけど…)、こんな日本の田舎に住む機会はそうありません。特に、東京や大阪の大都会出身の人ほど、田舎に住んでみるて見聞を広めるべきではないでしょうか。

このように田舎には良いところがたくさんあり、就活以外の理由で東京等の大都市圏を選ぶメリットはほぼ無いように思います(就活は大事ですけど)。あとは、恋人家族問題もあるかもしれませんが修習はそこから逃れられる合法的なモラトリアムでもあります

研修で見る事件の質も、修習生が扱うような事件は都会と田舎でさして変わりません(たぶん)。むしろ、田舎のほうがご当地訴訟とかあって面白かったりもします(温泉地の温泉訴訟では物権法定主義をあざ笑う温泉権を学べますし、港町のナマコの密漁に触れれば漁業権や反社の資金源に詳しくなれるかもしれません。)

見知らぬ土地に赴任する修習生も、実際に住んでみたら赴任地のことをベタ誉めしますし、「住めば都」ということを痛感しますので、悩むなら、とりあえず知らない田舎に行ってみてください。

あえて都会のメリットを言えば、人数も多いので影が薄くても淡々とやっていれば修習を終えることができることや、普通に便利ということくらいでしょうか。あと、そのままその都市で働く場合、就職前から一定のコネクションが築けるというのはそれなりにアドバンテージかも知れません。

結論:修習生よ、田舎に行け。

※2010年以前の時代設定であり、現代の修習事情に合致していない可能性が大いにあります。

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