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企業法務弁護士と英語(前編)

弁護士と英語

外資系企業に勤務しているいうことで、日常の業務において英語は必須となっております。新しい上司は英語ネイティブの白人で、ボディーランゲージも通用しません(実際には通用しますが、いかんせん海外にいますので…)。これはチャンス(というか普通にピンチ)ということで、留学から帰国ぶりに勉強しなおすことになりました。ということで、企業法務弁護士と英語の関係について、自分の経験を踏まえて書いていこうかなと思います。

就職活動における英語

一部のロースクール(特に東大)で必修にしている関係もあってか、四大の就職活動においても、ES等にTOEIC又はTOEFLの点数が記載されているのがデフォルトになっていますが(たぶん)、採用側としては基本的に気にしていないと思います。私の時は、ロー受験の可能性も見据えて試しに受けてみた期限切れのTOEICの点数を書いておきましたが、一顧だにされなかった気がします。「英語アレルギーでなきゃ別にいいよ」と言われた気はします。

TOEIC900点超え又はTOEFL100点越えとかだと若干印象に残るかも知れませんが、「A君とB君は総合評価は同じくらいだけど、TOEIC(TOEFL)の点が高いからA君採用しようか」とはならないと思います。(少なくとも今の世代の)採用側は、大半が留学の際にTOEFLを受けてそれなりに苦労もしているのでTOEFLのほうが受けは良いですが、それでもそんなに重要視はされないでしょう(TOEICに至ってはビジネス法務検定くらいの感覚じゃないですかね)。帰国子女・準ネイティブくらいだと少し「おっ」となる印象です。

ですので、就職のためにTOEIC/TOEFLというのはあまりに費用対効果が悪いと思います。留学のときに苦労しないので、TOEFLで高い点取れるに越したことはないですけどね。

 

留学前における英語

留学前に業務で英語を使う場面としては、英文契約書のレビュー・翻訳、海外の法律事務所・クライアントとのメールでのやりとりが主でしょうか。個人の英語レベルにもよりますが、電話(口頭)でのやりとりまで関与することは少ないですかね。

英文契約書は言い回しが若干独特な部分もありますが、ちゃんとした「日本の」英語教育を受けていれば、いくつか案件をやっているうちにそれなりにレビューできるようになってきます。メールも、多少のビジネス作法はさておき、弁護士のするやりとりは受験英語+アルファでなんとか対応できる部分が大きいです。

徐々に時代は変わりつつある気もしますが、口頭レベルでのやりとりは割とパートナーか(留学帰りの)シニアアソが仕切るイメージがあります(日本語でもそうか)。「若手でも英語くらいしゃべれて当然」とまではなっていないと思います。

なお、最近では四大法律事務所が「渉外」と呼ばれることも少なくなってきましたが、昔と異なり、今は国内の企業法務の比重も大きく、英語が全くできなくてもやっていけないことはないし、特に肩身が狭いこともありません(長期的な目線で、パートナーとしてやっていけるかとかキャリアへの影響は別の話ですが)。「自分、英語できないので」と案件を断るケースすらあります。

逆に、英語ができるが故に、海外案件のロジ回りに奔走させられ、肝心の日本法弁護士としての作業に関わる比率が減ってしまうという悲しい事例はしばしば目の当たりにしました(ディールを仕切ってるFAとかにもそれっぽい人がいるなあと思うこともあります)。

このほかには、留学のためのTOEFL(イギリスであればIELTS?)受験で英語に触れることになりますね。まあこれは語り尽くされているとは思いますが、何よりも大変なのは勉強するための時間を作り出すところです。

見事に仕事と勉強を両方こなすスーパーマンも稀にいますが、基本的には(仕事が優秀であればあるほど)勉強の時間がとれません。英語を勉強するための時間を十分に確保できている人がいれば、①優秀じゃないので干されているか、②それなりに優秀かもしれないけど、時間作出のために平気で仕事断る(いい意味で)ニュータイプかのどっちかです。仕事を断らないのが絶対正義という訳でもないので、別に②のタイプが必ずしも悪いわけではないのですが、皆がそれで事務所が回る時代にはまだなっておらず、②のタイプの裏側には、高確率でその人が断った仕事で徹夜・休日勤務するアソシがいます(Pがやれよって思うんですけど、これが労働基準法の適用されないアソホーダイの現場です。)。

 

留学後の英語

まず初めに強調しておきたいのが、(結構な率で)留学しても英語は大してうまくならないということです。したがって、留学から帰ってきても英語が下手な人もいれば、英語の案件をほとんどやらないような人もいます。

また、英語に触れる機会が減っていくと、劇的に英語能力が低下していきます。英語案件が多めの人もいるとは思いますが、留学帰りだからといって英語案件ばかりになるわけでもなく、英語力を維持するのは簡単ではありません。

コーポレートの弁護士は、最近はアウトバウンド案件などで英語に触れる機会は相対的に多いかも知れませんね。クライアントも必ずしも英語・買収取引に慣れておらず、現地ローヤーとのやりとり(コネクション含む)も含めて日本の法律事務所のサポートが必要なケースが多いかと思います。

一方ファイナンスの弁護士なんかは、そもそもグローバルなプレイヤーが多く、現地のローヤーを直接使いこなせる比率が高いと思います。偏見かもしれませんが、英語アレルギーも事業会社の人に比べると相対的に低めでしょう。

また、世界的な金融拠点であるシンガポール、ロンドン、NYなどの支部からやってしまうケースもあると思われますので、そういう観点からもアウトバウンド方面で日本のローヤーにどこまで需要があるのかは分かりません(これらシンガポール、ロンドン、NYの拠点へ日本弁護士が出向してるケースは最近多いですが)。

海外プロファイの件の依頼とかあったりしますが、個人的にグローバルファーム使ったほうがいいんでないと思うときもたまにあります。また、MAファイナンスなんかで、海外拠点の資産も担保に取るから現地ローヤーと協働する程度の仕事はありますが、そんなドでかいことでもありません(留学前でも全然関与しますし)。そうなるとまあ、外国企業のインバウンド案件ってのが主な英語の使いどころになってくるのかなと思います。

 

上記のように書くと留学後もそんなに英語が必要でないかのような印象を与えてしまいますが、上記だけが弁護士の業務分野でありませんし、そんなことは決してありません。ただ、「留学後はみんな英語ペラペーラ、世界を股にかける弁護士になるぜ!」ということかというと必ずしもそうではなく、人や分野によりけりということです。

また法律事務所時代の話だけで終わってしまいましたが、長くなったのでいったんここで切ります。次回はインハウスに移ってからの英語の使用状況と普段の英語の取り組みにでも触れていこうかなと思います。

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