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法律事務所でのキャリア② -留学-

法律事務所

前回の記事で述べたように、大手法律事務所の弁護士は、数年間勤務したのちに、二年間ほど留学・研修に行かせてもらえるのが通例となっています。

以前は、3-5年働いて、一年間米国ロースクールのLLM(一年プログラム)に行き、NY州の司法試験を受けてもう一年米国のローファームで研修というのが王道でしたが、最近では、留学に行く時期も行く先も多様になってきています。

留学の時期

時期については、上記の通り3-5年働くと留学に行っても良い年次になるのですが、忙しすぎて留学の準備(というかTOEFL)に時間を割けず、「来年は留学に行きたい」と毎年言ってズルズル先延ばしにするのが最近の流行(?)です。なお、「来年には行きたい」と言っている奴は、だいたい翌年も「来年には行きたい」と言っています。林修マインドでいま行くしかないのです。あと最近は、入所後2-3年目から企業や官庁に出向に行ったりするケースもあって、その分留学の時期が遅れるということもあります。

なお、通常の若手弁護士にとって、米国のLLMの選考は学部・院のGPAとTOEFLがほぼ全てなので、良いところに行こうとみんなTOEFLを頑張るわけですが、仕事は適度に(あるいは過度に)サボっているやつほどTOEFLの勉強ができてスンナリ留学に行き、不器用に働きまくる弁護士が遅れるのも最近の傾向です。もちろん、本当にできる弁護士は、多忙の中で留学準備もなんとかこなして旅立っていきます。

私見としては、ある程度自分の専門分野についての経験を積んで、新しいことが減ってきた or ちょっと疲れたわと感じたら、なるべく早く留学に行った方がいいと思います。

留学・出向先

一年目

留学・出向先については、一年目は米国のロースクールというのが今でも主流ですが、イギリスとかシンガポール、その他第三国も散見されるようになりましたね。たまにMBAに行く人もいますが、結構な自腹を切ることになるので、限られた意識高いマンだけが行くイメージです。
弁護士&MBAについてはこちらの渡邊先生のツイッターが、意識もかなり高く、参考になる気がします(西村あさひのようですね)。私はMBAについては、人脈や経験という点では得るものが大きいのではと思っていますが、授業の内容自体は、当たり前のことを多面的にこねくりまわしているorエッジケースを無理に一般化しようとしているという印象(偏見)があって、あまり興味がありません(当たり前のことは非常に大事ですが)。

NY Bar

NY Barは、米国LLMに行くなら取って来いとは言われますが、米国で実務をしない以上ただの飾りです。今の外資に就職する際にも、米国のローヤーを含めて誰にも有無を聞かれませんでした。ひと昔前ならともかく、今時この肩書にビビるような人は、少なくとも私のやっている交渉の場面では出てこないと思います(そんな人は、日本の弁護士資格だけでビビる)。日本の資格持ってない人にとってはキャリア上の意味もあるでしょうし、Twitterや合コンで名乗るにも気分いい資格かも知れませんが、必要ないと思うなら受けない判断もアリでしょう(ただ、上司と相談して)。

二年目

二年目は、最近はロンドン・米国・シンガポール等の日本企業(商社・エネルギー・金融等)の現地法人に出向することが多い印象で、法律事務所の海外展開とともに、自分達の事務所の現地オフィス(タイ・ミャンマー・ベトナム等を含むアジア中心)に行くこともかなり増えている印象です。オーストラリア・フランス・ドイツ・ドバイ・トルコ・アフリカ・ブラジル・メキシコなどといった変わり種も散見されます。中国は、基本的にチャイ語できる人の牙城ですね。なお、日本の弁護士を受け入れるメリットが小さくなってきたせいで、米国ローファームに行く人数は限られてきています。

留学中に話を付けるのは色々と面倒なので、留学前に二年目の行先を決めることが多いのですが、枠の問題もあって、二年目の出向先を確保するのも簡単ではありません。ここでも、仕事は適度にして、着々と留学準備をしている人から先においしい出向先のスポットをゲットしていく傾向がある印象です。

どこへ行けばいいのか

私の印象としては上記のとおりですが、最近は留学の形態も多様化しており、一年だけどこかに行って戻ってくるケースもあれば、二年を超えて外に出ているケースも多いです。業界の成熟やパートナーの数の増加も相まって、「新しいところ開拓してこい」みたいなことをパートナーからは言われるのですが、「そんな簡単にできねえよ、できるならお前らやっとけよ。開拓しても留学帰りにすぐパートナーになって顧客にできるわけでもねえし誰かに召し上げられるんだろ。アップサイドのないアソシエイトには、合理的なインセンティブがねぇ」と思ったりもします。

とはいえ、別に強いプレッシャーかけられるわけではないし、うまい具合に将来につながるかもしれないので、興味のあることがあれば積極的にチャレンジすればいいし、なければないで、普通のところに行ってくればいいと思います。

パートナーも、一応厳しいことも言いますが、基本的には、いったん外に出て自分を見つめ直して、人として一回り大きくなって帰ってこい的なスタンスでした。彼らも通ってきた道だからこその意見でしょう。

私のケース

さて、私はというと、米国ロースクールのLLMに一年&米国のローファームに一年という、どノーマルなパターンでした。日本のロー生だって実務のこと何もわかってないのに、学生として一年過ごしたくらいで米国の実務について大した知見は身につかないだろうという思いからです。結局、二年いても大して分からなかったかったわけですが、やはり一年だけでは消化不良になっただろうなとは思います。いずれにせよ、人生の中の貴重な思い出になっていますし、その時の経験は現在の仕事にも十分活かされているので、他の形もあったかなとは思うものの、これといって後悔みたいなものはないですね。

 

留学に対する法律事務所からの経済的援助は、人数の増加とともに年々減ってきていると聞きますが(その点、企業から来ている方はこちらが殺意を覚えるくらいのフルサポートです。)、私の知る限り、大手法律事務所の経営も今のところ盤石で、留学に消極的な姿勢も示していないことから、当面このカルチャーは続くと思います。他人の金で留学に行けて、戻る場所も確保されているなんていうオイシイ制度、使わない手はありませんね。

なお、「素晴らしい制度だ、事務所に感謝すべき」みたいに思うかも知れませんが、事務所も事務所で、投資としてやっている部分もありますし(最近は、すぐ退職したら補助金返還のところもあるとか。一方、手切金的に考えているところもあるらしいですけどね)、うまい具合に留学を目の前にぶらさげたニンジンとして使っている面もあります。もちろん、非常に感謝はしていますけど。

あまり具体的な中身のない記事になってしまいましたが、留学準備や留学中の暮らしぶりについては、激務から解き放たれてエネルギーを持て余した留学中の弁護士がいたるところでブログにしていますので、そちらをご覧ください(帰国後の現実の世界に戻ってきた後の話は少ないかも知れませんが)。私も、勉強も仕事もほどほどに、旅行ばかりしていました。一つだけ言っておくとすれば、海外生活を満喫したいのであれば、1,000万円くらいは貯金しておいたほうがいいということくらいですかね(帰国してすぐ返せるから、借金でもいいけど…)。

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