スポンサーリンク

逃げ恥ゴーンと日本の刑事司法制度

法律時事

転職したばかりで生活のリズムがつかめなかったこともあり、ずっと更新をサボっていましたが、年も変わったので、心機一転、再び取り留めもないことを執筆していこうと思います。あまり高い志を掲げても再び挫折するのが目に見えているので、現実的な数字として、一週間に一本くらいは記事を投稿して行きたいなと思います。

さて、年末から世間はゴーン氏出国の話題で盛り上がっていますね。私は刑事事件については門外漢ですが、本件のように正面から刑事手続が話題にされると、色々と思うところもあります。

既に色々な方が語っていますし、この分野に対する私の知恵と経験はあまりにも中途半端で、本件を細かく追いかけていた訳でもないので、ざっくりとしか書きませんが、私の所感は以下の通りです。

①日本の刑事制度には大きな問題もあるが、ゴーン氏の逃亡を正当化するものではない
②日本の刑事制度の問題点より、保釈された被告人を逃がしてしまった失態にスポットライトが当たっている気がする
③そもそも日産内で片づけてもらいたかった – 無能すぎる日産の経営陣

日本の刑事制度に文句があるからって逃亡していい訳ねえだろ – Goneすんなゴーン

日本の人質司法とも揶揄される刑事手続に問題があることは否めないですし、本件に関する検察の手法には醜悪な面もあったと思います。だからといって日本の刑事裁判を全否定する気はなく、ゴーン氏のように長く日本で活動してきた人物が、法を犯してまでこの制度から逃げていいとは思いません

日本の刑事司法の問題 – てかレバノンの方がヤバくね?

A. 議論の状況 – 刑事制度の問題よりゴーンの逃亡にスポットライト

本件を契機に色々な所で刑事司法について議論されていますが、「日本の捜査・司法機関によって不当な手続が行われた」という点よりも、「保釈中の被告人が逃げた」という点に国内では関心が集まっているように思います。

ゴーン氏は「公正な裁判が受けられない」と主張していますが、具体的な根拠がなく単なる思い込みのようにも聞こえ、妻に会いたかったから逃亡したというのが大きな理由に聞こえてしまうその一因ではないでしょうか。

また、レバノンの豪邸が日産名義だとか、結婚式のために会社の負担でヴェルサイユ宮殿を貸し切ったとか、巨額の費用をかけてプライベートジェットで逃亡したとか、ゴーン氏のやってることは我々庶民の世界とはかけ離れ過ぎです。そんなゴーン氏が逮捕されても我々庶民にとっては他人事でしかなく、自分も同じ目に遭うかもなんて不安も生じません。そのため、仮に逮捕が不当であったとしても世間の同情を引くこともなく、逃亡してんじゃねーよコノヤローという方向に議論が偏ってしまうのでしょう。

B. 「公正な裁判」- 逃亡先にレバノン選ぶ人が言っても説得力ゼロ

ゴーン氏は、「日本では公正な裁判が期待できない」と言っていますが、ゴーン氏が向かったレバノンは、アメリカを拠点とするNGOであるFreedom House(https://freedomhouse.org/)のレポートによると、適正手続(Due Process)の評価は「4段階中最低の1」(日本は4、フランスは3)とされています。

最低点の1点とか今お前のいるレバノンのほうがやべーじゃん。レバノンの司法制度は知りませんし、レバノンがダメダメだからといって日本の手続もダメでいい訳ではないですが、上記のような状態のレバノンから日本の刑事制度を批判されても、「レバノンのクソ制度には従えて日本の制度には従えないのか?やっぱ逃げたかっただけじゃん」と思う人は多くいると思います。

C. 小括 – 金持ちの戯言は日本国民の心に響かない

そんな次第で、本件を受けて日本の刑事制度に対する外圧が強まっているようには見えないことから、本件が、捜査・取調手続といった刑事手続の在り方に強い影響を与えるとは思えず、「第二のゴーンを逃がさない方法」にスポットライトが当たるに留まっているのだと思います。

D. 余談 – もうちょっと保釈制度うまく運用できないの?

本件を受けて、保釈中の被疑者・被告人にGPSを付けるといった話も出ていますが、米国の法律ドラマ「The Good Wife」では、捜査・公判の対象人物(州検事、のち知事)の保釈中にGPSを付けて、家から出たりGPS装置を外したりすると機械的に通報されるという措置が取られていました(現実にこんな運用がされているのかは、米国留学していたけれども知りません。)。保釈中の過剰な監視には賛同しませんが、こうした措置をとって、出頭しなければ裁判所の許可でGPS追跡できるとか柔軟な運用ができれば良いのになと思います。

近年、過去に比べれば保釈の運用が多少は柔軟になったという話も聞きますが、保釈中又は身柄拘束中である被疑者・被告人が逃亡したというニュースをいくつか見たり、本件のようなショッキングなニュースもあると、人間の性として「逃げられるものなら逃げたい」と思う人がいることは認識せざるを得ず、保釈制度の問題も一筋縄ではいかないなと思います。

その他関係者 – 無能過ぎる日産の経営陣

想定外の方向に発展し収束がつかなくなった本件ですが、関係者みんな問題だらけだと思います。

検察 – 色々な形で逮捕勾留を繰り返したりと、今回の捜査手続のやり方はフェアだったようには思えません。
裁判所 – 保釈自体はいいけど、逃亡に16億円払う人間に保釈金15億円?これだから貧乏人は…って、こんな人間に対する保釈金の相場なんて分からないですけどね。
森法相「司法の場で無罪を証明すべきだ、ドヤァッ!」
…推定無罪の真逆を行くとかバカなの?弁護士資格持ってる法相がそんなアホな発言してるから日本の刑事制度がさらにボロクソ言われんだよ。

https://www.sankei.com/affairs/news/200109/afr2001090042-n1.html

弁護団については、世間の感情的に弁護人を責めたくなるのは分かりますがが、彼らは彼らの役割を全うしただけというのが冷静な感想です。ただ、以下の点については非常に残念です

弁護団
・「パスポート携帯の経緯をまさかの失念…
・ゴーンに「『公正な裁判』は期待できない」と説明したことを公言し、「彼と同じ財力、人脈そして行動力がある人が同じ経験をしたなら、同じことをしようとする」と公言

結果として弁護団は、

弁護人に保釈の重要な条件を委ねても忘れる
・弁護人が「逃亡の恐れはない、ドヤァ。」と保釈申立するくせに「ゴーンみたいな人は逃げると思うけどね」と考えている

という前例を作ってしまいました。この前例が、彼らの目指す刑事司法を実現していくためにプラスになるのか疑問に思います。

当時の日産経営陣 – ゴーンの暴走が事実とすれば、これを止める権限も責任も有していたのに、ここまで問題を大きくした日産の当時の経営陣は、これだけの大企業の役員としては無責任かつ超絶無能だと思います。その意味では、安倍首相の「日産内で片づけてもらいたかった」との発言には激しく同意します。こんな会社の車には私は乗りたくありません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました