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勝ち組弁護士の就職活動(大手法律事務所編)

法律事務所のキャリア

旧司法試験に続いて、(時系列的に)当時の就職活動について書こうと思います。

タイトルからして煽りにいっていますが、弁護士といっても、庶民の味方の人権派弁護士もいれば、大企業の味方のビジネスローヤーもいるし、何をもって良しとするかは人それぞれという傾向が強い職業なので、勝ち組とか負け組とかいう世俗的な発想に左右される人はそもそも弁護士に向いていない気がします。まあ今回は、一般にエリートと呼ばれてしまっている大手企業法務系の法律事務所での就職活動について書きます。

ざっくりいうと以下のような感じです(※2010年前後の話)。

①試験に合格したらすぐに就職活動が始まっている
②就職活動はうまい飯食って気の合う人が多い事務所を選ぶだけ
③初任給は約1200万

①試験に合格したらすぐに就職活動が始まっている

無事に口述試験も突破し、正式に司法試験の合格発表があったのが11月ころだったと思います。私のときの修習は翌年の4月からだったので、とりあえず残りの学生生活を楽しむ気満々でした(大学中を見渡しても在学中の合格者は自分しかいなかったので完全に調子乗ってました)。今は9月とかに合格発表で直後の11-12月くらいに修習が始まる感じでしょうか。昔は、在学中合格者を待つべく4月からだったのでしょうが、今の受験生は法務博士という名のニートですから早く修習始めてあげる必要があるんでしょうね。

話戻って、ある日、何気なく2ちゃんを見ていると、「おまいら、〇〇の事務所訪問エントリーしたか?」的な会話が行われているのを発見しました。

最初は「いやいや、合格発表あったばっかりでまだ修習も始まってないのに何言ってんだこのウスラトンカチ」としか思わなかったのですが、その情報をもとに色々調べた結果、本当に事務所訪問的なイベントが開催されていることと、世の中には四大と呼ばれる限られた者しか行けない企業法務事務所(今は消えましたが、私のころはまだ「渉外」という呼ばれ方もしてましたね)が存在していることを初めて知りました。そう思うと、2ちゃんが存在していなければ私の今の人生はあり得ませんでした。ありがとう2ちゃんねる、ありがとうひろゆき

今のロースクール生は、四大法律事務所の存在は当然知っているし、就活の情報も色々と共有されるからいいですが、一人寂しく司法試験を目指していた私としては、「え?進路って修習の経験を踏まえて決めていくもんなんじゃないの?」という考えだったので、結構びっくりしましたね。

このように、大手の法律事務所は、司法試験に合格したと思ったら束の間、すぐに就職活動が始まっていたのです(新司法試験になってからは、合格したらすぐどころか合格かどうか分かる前に始まりますけどね)。

② 就職活動はうまい飯食って気の合う人が多いところを選ぶだけ

このように、知らぬうちに就職活動が始まっていたことに多少面食らった自分ですが、肝心の就職活動の内容は、その言葉から通常の人が想像するものとは全然かけ離れているものでした。

事務所によって多少の違いはあれ、とりあえず、集団での事務所説明会を開催し、その後、希望者あるいは基準を満たす合格者は個別に呼び出して面接を行うというスタイルです。

そして、在学中に合格か、卒業後1-2年(2年は若干微妙)で合格の東京早慶で人間的に大丈夫ならオッケーという感じです。それ以上の年齢の方は、公認会計士資格持ってるとかいう特殊スキルがなければ基本的に門前払いです。

私も面談の際に志望動機を聞かれて、「志望っていうか、とりあえず事務所説明会で事務所の概要を聞きたかったのですが、そしたら自動的に面談にもエントリーされちゃってたのでここに来ました」みたいな舐めプしてしまったんですが、最終的には受かりました(もちろん、上記のやり取り以後は真剣な話をしました)。

そして面談といっても、基本的には世間話をしてから高級なランチかディナーに連れていってもらい、熱くときに暑苦しい話を聞くだけだったりします。司法試験で実力が担保されている以上、人間性くらいしか見るところないわけです。なお、当時は貧乏学生だったので、飯は信じられないレベルでうまかったし異世界に迷い込んだ感覚でした

結局、四大法律事務所なんて存在も知らなかったわけですが(企業法務には漠然と興味ありました)、「四大」とかいう響きがよかったのと、飯がうまかったのと、スーツ着て就職活動するのに疲れてきたのもあって、気の合いそうな弁護士が多かった事務所にえいやで決めました。

四大事務所のどれを選べばいいのか

四大からどこを選ぶかというのは、今のロースクール生を含む就活生が常にぶつかる問題ですが、仕事の内容は同様だし、どこの事務所の弁護士も立派だと思うし、これはもう縁とか直感としか言いようがありません。今後のキャリアに関わってはくるものの、適当に悩め。

③ 初任給はだいたい1200万くらい

今は知りませんが、当時の四大の一年目の給料の相場は横並びでこの金額でした。金のために弁護士になったんじゃないとは言いながらも、22歳の貧乏学生の顔がにやけてしまうことは避けられない金額です。

額面だけでみれば、社会人1年目がもらう金額としては非常に高額だとは思いますし、実際に働いてみてこれでは足りないと思ったことはありませんが、社会の色々な職種との比較で、給料に見合ったバリューを提供できているとは必ずしも断言できません(先行投資的な部分もあるとPから言われたことがあります)。

ただ、この金額をもらっても恥ずかしくはないだけの質・量の仕事を与えられることになりますので、安心して「1,200万円分働かされる」と思って入所してくればいいと思います。実際、私は一年目は時給換算だと3,000円切るくらい働きました。

 

追記:最近の就職活動について

ブログ開設以来なぜかこの記事が一番アクセスが多いので、私が辞職した頃(2018年前後)の状況についてもリクルーター目線で少し補足しておきます。ポイントは以下です。

①事実上サマーは必須。行かなくてもチャンスはある。
②予備試験組は半分フリーパス。ウィンターは必須ではない。
③就職活動は一瞬。早い人は数日~一週間で決まる。
④永遠のテーマ – 四大のどこがいい?

四大への登竜門 – サマー

この辺はもはや東京のロー生の方が詳しいと思いますが、四大から内定を貰うにはサマーに行っておいた方が圧倒的に有利です。

事務所側も採用枠がある程度決まっており、予備試験組やサマーの中で優秀と考えている人から順に枠を埋めていくので、サマーに来てない人はどうしても優先順位が落ちます。なお、成績的には問題ないのにスケジュールの都合で当該事務所のサマーには来れなかったタイプにも声をかけたりしますが、就活生の側から見てもサマーで雰囲気の分かっている他の事務所に行く方が安心なので、就活生にフラれるケースが大半です。

なお、関西圏の学生(といってもほぼ京大ロー)がどうしていたか忘れました。もちろんサマーは滞在費も出して積極的に受け入れてますが、いざ就活の時どうしていたか覚えていません。ソツのない東京のロー生に比べると素を出してくるので割と歓迎される印象です。

二年次のサマー

以前は三年次のみ対象にしていましたが、最近は基本的に二年生も対象になりました。二年の時にサマーやると、意外と三年次に別の事務所見る機会を削ってでも再度サマーに来てくれるので、結構囲い込み効果あるんですよ。そういう事情もあって、最初は一部の事務所だけだったのですが、他の事務所も参戦してみんな疲弊する形になりました(この業界、基本そうなんだよ…)。なお、二年次のほうが受入枠が少ないぶん厳選してサマーに呼んでいるので、二年次に来て三年次に来なかったからといってマイナスに働く可能性は低いと思います。

とりあえず、私はサマーに給料が出ると聞いて「ふざけんな」と思っていました人当たりが良いって理由だけで講義やアフターでサマーの面倒を割り当てられる(なお仕事のアサインは減らない)アソシエイトにボーナス払え!

サマーに行けなくてもチャンスはある

予備試験組とサマー組だけで採用のノルマを満たすことはあっても、上限に達することは少ないので、サマーに行ってない学生でも選考プロセスに乗ることは普通にあります。しかし、成績面では劣っているうえ、事務所も候補者のことを分かってないので、しっかりアピールしないと採用見送りになる可能性が高いと思います。アピールすべきモノを持っていなければ残念としか言えませんが、意外と「ガクチカ」とか、個性的な趣味とか、変わり者的なモノを持っているとアピールになったりします。

予備試験組はフリーパス ウィンターは必須ではない

ロースクールの失敗の象徴みたいな予備試験ですが、合格者に優秀者層が多いと考えられているのは事実で、四大も予備試験組の採用には力を入れており、予備試験合格していれば四大の採用もフリーパスという傾向があります。もちろん、それでもダメな奴は落とします。

予備試験合格者向けの短期間のウィンターは、合格者側としても体験してみたくて希望するのが一般的でしょうが、ウィンターに行ってない事務所からもアッサリ内定出ると思います。ただ、司法試験の志願者の減少や予備試験への流入増加の傾向を踏まえて、この状況がどこまで継続するのかは分からないです。とはいえ、受験者数減少により受験生の母体のレベルが全体的に落ちても、その中のトップを確保しなければいけないことは変わらないですけどね。

就職活動は一瞬。早い人は数日~1週間で決まる

四大協定 – 談合バンザイ

四大はリクルートについて内輪で嫌らしい約束をしていて、「6月1日の10時」から就活生にアクセスしてOKみたいなルールになっています(日時は例えですが)。

ということで、解禁したまさにその瞬間から、優先順位の高い候補者に電話をかけて面接のアポを取っていきます。私は受ける側の経験はありませんが、候補者からしたら、引越の見積サイトに登録してしまった時の電話ラッシュみたいな感じだと思います。

解禁時間と同時に電話がきた時点で内々定みたいなモノです。実際、そういう人達には一回目の面談で内定出したりします。スパンも結構短く、早いケースだと、2日かけて4つの事務所で面談を行い、候補を2つくらいに絞り、その次の2日で最終候補の2つと一日ずつ深い話をして、最初の一週間で決めてしまうというノリです。(少し忘れましたが)3週間くらいで選考はあらかた終わってしまい、1か月くらいで全て終わるような感じになります。

迷ったら待ってもらえる? – しっかり悩みましょう 

優秀な人についてはどこの事務所も猛プッシュしますが、(PやJ志望も含めて)迷っているなら正直に言うべきです。フィットしない事務所に入ってもお互い不幸ですし、いくら優秀と言っても、採用の時点で事務所の命運を左右するような逸材だなんて事務所側も思ってないですし、一人採用できなかったくらいで事務所が困ることもありません「君さえ良ければ是非一緒に働きましょう」的なスタイルです。記憶の限りでは、「〇〇までに決めて欲しい」ということは時たま言いますが、他の四大の選考スケジュールを無視してまで無理強いすることはありません。ちゃんと考えて欲しいと思っています。

四大以外には「他の事務所の内定を蹴るなら内定出す」みたいなことする事務所もあると噂レベルでは聞いたこともありますが、真偽は定かではありません(一般の就活なら良くある話ですし、責められることでもないですが)。しかし、こと四大についてはそんなことは無いというのが私の認識です。

選考では何を見ているか

あまり客観的な評価基準も無いし、「一緒に働きたいと思える人」とか抽象的で良く分からないことをよく言っていますが、身も蓋も無いことを言えば一般企業と同じく社畜としての適性を見ています「コミュ障でないこと」と「仕事に耐えられるか」が大事(特に後者)と個人的には思っています。

もう少し具体的に言うと、議論について来れる知性、チームで上手く立ち回るコミュニケーション能力、激務・理不尽に耐えられるストレス耐性が必要という感じでしょうか。ストレス耐性という意味では体育会系気質の人間は歓迎されますね(脳筋は四大ではやっていけませんが)。良い子ちゃんでも構いませんが、大人しいのは心配されます。

なお、後述する事務所のカラーと合っているかは一応見ますが、どちらかというと候補者の方が気にする印象があり、「彼はNA(NO&T)っぽいからウチは取らない」ということは少なくて、「彼はNA(NO&T)っぽいからウチには来ないだろうなぁ」という話をする程度だと思います。

永遠のテーマ – 結局四大のどこがいいの?

旧試験編と重複してしまいますが、人に答えを教えてもらいたいタイプの為にもう少しだけ書いてみます。就職活動の際にはみんな悩むことですが、結局は以下のようなことに過ぎません。

事務所のカラー

とはいえ、最近のロー生は良く知っていることだと思いますが、六道のそれぞれにもカラーがあるように四大にも事務所ごとに一定のカラーがあり、例えば以下のように言われます。

さすがはパートナー。。(ネガティブ面についてのみですが)かなり的を射ていると感じます。どこの事務所も色々な弁護士がいるので全員がこれに当てはまるわけではありませんが、全体的な印象としては間違ってないでしょう。

とはいえ、例えばNO&Tに入りたいなら「マロは弁護士でおじゃる」と言える貴族でないとダメな訳ではありません。自分自身はそうでなくても、そういうカラーの人達と働きたいと思えるかが大事だと思います。

なお、私はサマーの子から「自分は貴事務所に向いているでしょうか?」とメールで質問を受けたことがあります。評判の悪くない学生だったのでポジティブなことを言うべきだったかも知れませんが、「サマーで会っただけなので正直分かりません。自分で考えるしかないですね」的な回答をしてしまいました…(結局、入所してきてくれましたけど。)。冗談っぽく言いましたけど、マジメな話、就活生なら自己分析くらい自分でしましょう。

緩くやるか厳しくやるか

まあ、緩くやる(自由にやる)って一か所しかないんですけどね。四大の中では比較的自由・牧歌的ということで、色々な場面で二択に残っていますね。まあ耳障りは良いですけど、成長できるかどうかも人次第っていうのは向き不向き大きいかも知れないですね。

最初に広く経験するか最初から専門分野に注力するか

これも良く内定者がウダウダ言ってる項目ですね。ローテーションがどうとか、初めから専門分野に集中したほうが良いのかとか。これは気にし過ぎる必要ないし、決め手にするのもどうかなと思います。どうせローテーションの期間では大して深いことは分からないし、ローテーションしたからって自分に最適な分野を選べるわけでもないと思います。昔に比べると、ウィンターやサマーで一定の話を聞いているということもありますしね。まあ、あんまり判断基準にしてもナンセンスだと思います。

その他にも、留学の補助制度とか、給与所得か事業所得かとか、ボーナス制度とか多少の差はありますが、差があってもせいぜい「いいなぁ」と少々思うくらいの差です。結局は縁とか直感になるので、自分に最適な六道をフィーリングで見出してください(もちろん、人間道と天道はパートナー用ですので選べません)。

 

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